第1章 ♢始まり♢
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ここは地下街
ーバシュッ
不正に入手した立体起動装置を使い
建物の間を器用に飛び抜ける男
リヴァイは貴族にある男の抹殺依頼をされ
たった今仕事を終えたところだった
「チッ…汚ねぇな」
返り血を浴びた手を見て舌打ちをする
もう何度この手で人を殺めてきたのだろうか
殺るか殺られるか
ここ地下街はそういう世界だ
母親を亡くし死にかけていたリヴァイは
母親の兄だというケニーと出会い
しばらく一緒に暮らしていた
だが彼はリヴァイが生きていく力を
身につけると共に姿を消してしまった
1人で生活をしていたリヴァイだったが
ファーランとイザベルとの出会いにより
リスクの高い任務も彼らと暮らす為ならばと
迷いなく行ってきた
立体起動を使って任務完了の報告をしに急ぐ
今日はイザベルの誕生日だ
報酬を貰ったらアイツが好きな
甘いものでも買って行ってやろう
「兄貴!すげー!」と大喜びする
イザベルの顔が思い浮かび少し口角が上がる
「リヴァイ。ご苦労だったな」
「あぁ」
「また、頼むぞ」
ージャラッ
大金が入った布袋が机の上に置かれる
それをサッと取り
立体起動でその場を去った
ーピカッ
基地への帰路の途中で視界の端の建物が
急に光ったように見えた
不思議に思い光っていた廃屋に近づく
気配を消し窓から中を覗くと
清潔なベットの上に人らしき物が見える
こんな汚い廃屋の中に綺麗なベットと
布団があることに疑問を覚え
細心の注意を払いながら窓から中へ入った
「…なんだこれは」
ベットに近づき横たわっている人物を見ると
見たことのない服装をしている女だった
足元にはこの女の持ち物と思われる荷物が
大小二つ置いてあるが
それも見たことの無い形と材質だ
貴族…と言うわけでも無さそうだ
「………」
見なかったことにして
このまま置いていくこともできるが
何故かリヴァイはこの女のことが気になり
基地へ連れて帰ることにした