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愛は無いけれど【R18】

第1章 恵まれた男


退屈だ。いつになく平和な午前の休日を、真羅は憂鬱な気分で過ごしていた。
海外を飛び回るワーカーホリックな両親を持った真羅は、幼い頃から独りの時間を持つことが多かった。
しかし、幸い恵まれた見た目のためか、はたまた回転の速い頭を持ったからか、真羅は少し頑張れば大抵の事は出来るようになっていった。

勉強も、スポーツも、友人を作る事も。
ある程度の年になれば、自分の見目が異性の目を集めやすい事も理解出来て。少しいい顔を見せてやれば、その相手は直ぐに自分に心を開いた。

初体験は中学の頃、特別好きな相手ではなかったが見た目が好みだった女の子と。
最初は少し苦戦した行為も、彼女の反応を伺いながら探っていけば女性の悦ばせかたもすぐに理解できた。そして、行為を重ねていく内に、自分は女性を操る術に長けている事に気付いた。

心をほぐし、付け入って、相手が体を許せば後は簡単。
快楽に溺れさせて、その快感を体に馴染ませてやれば多少のわがままは聞くようになったし、捨てられるのを恐れて自分に逆らわなくなる。

なんて、簡単な人生なのか。
おおよそ、大した苦労もなく、友人との目立ったトラブルもなくついには大学にまで進学した真羅は、有り余る両親から与えられた生活費で悠々とマンションでの一人暮らしを謳歌していたのだった。

「退屈だな・・・。」

そう零して、真羅は退屈凌ぎにはなるかと傍にあったスマホを手に取った。連絡アプリを開けば、数えきれない通知が来ていたが、こちらの気が乗らなければ返信しないのはいつもの事で。偶々目に付いた子に連絡を入れれば、物の数秒で返信が来るものだからおかしくて笑ってしまった。
家に来るか、と尋ねれば当然のようにYESの返事。そのメッセージにいくつか家に来るに当たって従わなければ入室を許可しないという内容と共にいくつか指示を送れば、それにまですぐさま了承の返事が来て。

自分が都合のいい女だと理解しているくせに、従順な奴だと馬鹿馬鹿しくなってソファーにスマホを投げ出せば、また別の都合のいい女からのメッセージ通知を鳴らすスマホを、真羅は冷たく見下ろした。
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