第4章 赤面ヒーロー (土方)
「ってことなんですけど、
これについて土方さんは
どう思いますか?」
「どうも思わねェ」
「ひどい!」
久しぶりに一目惚れと
いうものをしまして。
ただ、その人の名前も何も分からないので
警察のこの人なら
なんとかしてくれるかなと思って、
私は今、
巡回中の真選組副長をファミレスに連れ込んで
恋愛相談にのってもらっています。
「第一、俺が知ってても教える訳ねェだろ」
土方さんはコーヒーなのかマヨネーズなのか分からない、
謎の物体をすすりながら、
いつもの仏頂面でそう答えた。
まぁ、そりゃそうだ。
市民様を護るのが
この人の仕事なんだから。
「いいじゃないですかー」
「よくねェよ」
「ケチ」
あからさまに不機嫌な顔をすると
土方さんは呆れながらも
「で、その相手?
っつーのは、どんな野郎なんだ?」
と、話を振ってくれた。
なんだかんだ優しい人だ。
町の人たちは鬼の副長だなんて言うけど、
私はそう思ってない。
昔酔っ払いに絡まれて困ってたところを
助けてくれたあの日から、
私にとってこの人はヒーローみたいな人なんだ。