第13章 帰ろう、私達の本丸へ
縁側でボーっとしていると、空が白んできた。
ああ…もう朝か。
主「そろそろ戻らないと…」
先程の声は、一体誰だったのか…。
白んできた空に未だ浮かぶ月が衰えぬ輝きを放ち、縁側を照らしていた。
蛍丸「やっと見つけた」
急に話し掛けられ、ビクッと肩が跳ねた。
蛍丸「昨日、主が寝ちゃった後に国行と国俊が此処に居る刀剣男士達に掛け合ってくれたんだ」
あまりに驚いて声も出せなかった私の隣に腰掛け、此方をじっと見詰める蛍丸。
説明してくれる声の調子が大人びていて、真面目な話なのだと向き直った。
主「そっか。審神者に良い思い出が無いのにそんな事まで…来派の皆は優しいんだね」
蛍丸「何言ってんの?国行も国俊も、もう主の家族なんでしょ?二人共、審神者じゃなくて主が好きだからやるんじゃん…でしょ?」
…っ!!
蛍丸の真っ直ぐな目に、まるで射抜かれた様に体が固まってしまう。
何とか唾を飲み込み、口を開いた。
主「ん…ごめん。ありがとう言わなきゃね?で、此処に居る子で怪我してる子は居るのかな?」
明石「ホンマに心配してくれてはるんですなぁ、大丈夫ですわ。重傷なんは、俺と国俊くらいです。後は…居っても中傷くらいです」
主「中傷!?傷は傷!痛いじゃん!!」
蛍丸「ちょっ!?」
明石「…なっ!?蛍丸、あの暴走姫さん何とかならへんのかいな!?」
聞いた途端、駆け出していた。
見た所、此処は私と同じ初期建築の本丸。広間の位置も一緒だった。
広間の障子を開けた途端、数人が乱雑に座っていた。