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私の本丸

第12章 月夜の出逢い




……此処…どこ?
私は真夜中に目を覚ました。
見れば自分の本丸の景色とは違う、澱んだ空気が息苦しい…ああ、此処は任務で来たあの本丸だ。
辺りを見れば真っ暗で、私は雑魚寝をする皆を踏まぬ様に慎重に表に出た。

主「今日来るって言っていた子…もう少しだけ待っててね」


そういえば亀甲も一人きりだ、来て早々に寂しい思いをさせてしまった。
不意に空を見上げてみると、一際輝いて大きく見える三日月が出ていた。


主「綺麗な三日月…」

?「ん…呼んだか?」


はいぃぃぃ!?月が喋った!?
ち、ちょっと待て…もう一回喋り掛けてみよう。


主「い、いや…綺麗な三日月だなって」

?「ほう、褒められるのは悪い気はせんな」


…やっぱり、月が喋ってるの?
いやそんな訳あるか!振り返ろうとした瞬間…。


?「そのままだ、続けろ」


えっと…話を続けろって事?
見るなって事か…。


主「私は…ただ、皆に笑顔になって欲しい」

?「笑いたくないと言っても、か?」

主「私なんて政府にもこんのすけにも役立たずの審神者だって言われてる、本当何も出来ない奴なんだけどさ」

?「……」

主「私みたいな馬鹿でも出来る事があるならしたいって思う…辛い顔なんて見たくないもん」


黙り込む、自称お月様。
私は一つ頷いて、沈黙を破った。


主「だから、笑いたくないならブッサイクな顔してでも無理矢理笑わせちゃう!」

?「…俺達の主が御主だったら、どれだけ良かったろうな」


その言葉を聞いて、後ろを振り返った…が、声の主はもう既に姿を消していた。
一体誰だったんだろう?
目が覚めてしまい、そのまま縁側で月を見上げていた。

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