第3章 主、大好き
主「台所って…何処だろう?」
加州が出て行ってから、先ずはと台所を探していた。
探し初めてから一時間、もう完全に迷子だった。
主「此所、どこー!?」
私は鶴の恩返し猫バージョンの、某アニメ並みに叫んでいた。
こんのすけ「騒がしいですな、本当に」
主「あ、こんのすけ!何処行ってたのさ!?」
あんな嫌味な狐でも居ないよりはマシ…というより、今は来てくれて大感謝である。
こんのすけ「政府に報告に参っていたのです、今回の貴女様の行動は結構な評価を得ておりましたよ」
主「本当?何もしてないのに…あ、ねぇこんのすけ。台所って何処かな?」
こんのすけ「は?台所はほら、この広間の奥ですよ」
探しに探していた台所は意外にも、すぐ近くにあった。
見れば、昔ながらといった台所だった。
主「あ…何で食材があるの?」
食材も買って来ないと、と思っていたが様々な野菜や魚が台に並べられていた。
こんのすけ「此所に来て間がないですからね、一週間分の食材は政府が用意しております」
主「マジか、政府様々だな」
こんのすけ「審神者…頭が悪い、大して美人という訳でもない、スタイルが良い訳でもない。そんな貴女が品まで無くしたら…もう残るのは情だけですぞ」
主「あ…あはは…」
この狐ぇぇぇ、言わせておけばぁぁぁぁ!いつか本気で吊るしてやるからな!?
よく見れば、昔ながらの台所に似合わぬ大きな冷蔵庫が置かれてあった。
私は手早く食材を冷蔵庫に仕舞い、腕捲りしては髪を一つに結った。
こんのすけ「な、何をしているのですか!?」
主「ん?だって、今日来たばっかの子達にお仕事なんてさせられないでしょ?人間の体に慣れてる訳じゃないんだから」
こんのすけ「本当に変わり者ですな」
私はカブと揚げの味噌汁、ブリの照り焼き、しらずと小松菜の交ぜご飯を作った。
そして広間に運びながら、刀剣男士二人を呼ぶのだった。