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氷華血鎖【鳴門】

第38章 一部・残酷な未来


永遠なんて言葉は存在しない。
どれだけ大切に想っても苦しい程に愛しても…ずっと一緒には居られない。いつか必ず別れが来る。人は生まれながらにして死に向かって歩んで行くものなのだ。



-はらり-



「雪ですか。どおりで寒いハズだ」

「ちぇーっ…もう少しゆっくりしたかったぜ、うん」



何だかとても久し振りに見た気がする暁の外套を身に纏う皆と村の出口でたむろう。小粒の雪を降らせる空は鉛色。比較的暖かい湯の国でもこの村は標高が高い。まだ積雪する程の降雪では無いけど、もう時期積雪の季節。



「マツとトシに宜しく言っといてくれよ、うん」

「次は容易に解毒薬を作れると思うなよ」

『はいはい』



弟妹が学校に行った後、直ぐ。ペインさんから連絡が入り皆任務へ行かなくてはいけなくなった。昨日、旅行から帰って来てばかりなのに運悪く休む暇が無い。



「また寄るからなーチヅー!」

『チヅって…ふふ、行ってらっしゃい』



元気良く手を振りながら山を降りてくデイダラ君とスタスタと先に進むサソリさんに小さく手を振り返す。



「名残惜しいですが私達もそろそろ…」

『二人には随分と世話かけちゃって御免ね。有難う感謝してる』

「「!」」



兄弟の抗争に巻き込んで弟妹の面倒を見てもらって。



「いえいえ、私達はかなりの長期間休ませてもらいましたから」

「世話になったのは俺達の方だ」

『また寄ってね』





※※※





少し寂しそうに微笑むチヅルを抱擁したい気持ちに駆られたが何せ人前だし外だから何とか思い留まって平静を装う。



「…まぁ…私はまた寄らせていただきますが…イタチさんの場合は"寄る"では無く"帰る"ですよね」

「そうだな」

『!』



鬼鮫の言葉に同意を示せばチヅルは嬉しそうに微笑む。



「あぁ、私の事はお構いなく。存分にイチャついてもらって構いませんので」

『なっ………っ!?』



ほんのりと頬を染めて抗議の声を上げようとするチヅルをお言葉に甘えて抱擁すれば体温すらも上げて硬直する。



『ちょ!?い、いた…イタチさん!?』

「おやおや」



慌てふためくチヅルをお構いなく抱き締めれば、やがて観念した様に身体の力を抜いて控えめに腕が背に回される。
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