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氷華血鎖【鳴門】

第37章 一部・子守唄


夕刻。
村に戻って自宅が見えると双子は一目散に家に向かって走り出す。小さく手を振りながら玄関前で出迎えてくれる姉であるチヅルさんに飛び付くと二人して一斉に話し出すのをチヅルさんが宥めているとイタチさんも玄関から出て来る。



『皆さんお帰りなさい。お疲れ様でした』



と笑顔で迎えてくれるチヅルさんにデイダラも飛び付こうとするとイタチさんがその間に割って入ってデイダラを押し退ける。



「あだっ!?何すんだテメェ!」

「双子の邪魔をしてやるな」

「………確かにそうだな、うん」



おや。珍しく聞き分けが良い。



『鬼鮫さんサソリさんデイダラ君』

「「「!」」」

『有難う。お陰でゆっくり休めた。疲れたでしょ?夕飯出来てるし今度は三人がゆっくり休んでね』

「…相変わらず女神過ぎてオイラには眩しい…」

「餓鬼が」



そんな様子を見守りながら家の中に入ろうとすると視線を感じて足を止める。



「お前も見掛けに寄らずお節介だな」

「そうですか?」

「だが気を回してくれた事には感謝する」

「………!」





※※※





今夜の食卓は一際賑やかだった。会話を止める事を知らない様によく回る双子の口にチヅルはずっと笑顔を絶やさずに聞いていた。



「そう言えば姉上にお土産があるんだよ」

『お土産?』

「「いつも有難う」」



と双子がチヅルに手渡したのは大層高級な木箱。その木箱の中には洗練された細工の施された櫛。俺の目から見てもうん十万両はかかる代物だと判断する。



『こんな事させる為にお小遣いあげてる訳じゃないけど…素敵。有難う二人共』



照れ臭そうにはにかむ双子の頭を撫でるチヅルの顔が一瞬だけ曇る。



「…ど「そう言えばチヅ」…」

『何?サソリさん』

「お前、稼ぎはどうしてる?」

一同「!」

『どう、とは?』

「子供が持つには身に余る金額だ」

『………』



確かにこんな高価な代物は子供が買うには無理があり過ぎる。だが大人達が出した様には見えない。つまりは小遣いの金額が半端では無いと言う事。



『本当に皆は他人に興味が無いよね。一応アタシも暁の協力者なんだから多少は調べときなよ』



くすくすと可笑しそうに笑う。
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