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氷華血鎖【鳴門】

第35章 一部・旅行


昨日の夕飯時から弟妹の様子が少しおかしい。何かソワソワしてる感じで言うなれば…そう。何かを企んでる様な。記憶とか思考を読めば一発で分かるんだけど無闇矢鱈にあまりこの能力を使いたくは無いし…何たって個人情報やプライベートなんてものはクソ喰らえになる。そんなものは情報収集する時だけで良いと思う。
そんな事を考えながら迎えた朝。朝食を終えた後に鬼鮫さんから思いもよらぬ提案が持ち出された。



『この子達を…一泊二日の旅行に?』

「「ねぇ良いでしょー?お願ーい」」



しかもアタシが連れて行くんじゃなくて、どうやら鬼鮫さん達が連れて行ってくれるそうな。気持ちだけならとても有難い申し出だけど札付きが旅行なんかして大丈夫なのだろうか。



「おや…心配ですか?」

『まぁ…』

「大丈夫ですよ、そこら辺はちゃんとしますので」

『でも…』

「チヅルさんもたまにはゆっくり休まれては?」



休むって言っても村に帰ってからは休んでる様なものだし。確かに村人達の診察とか薬の調合はしてるけども。



『因みにだけど何処に行くつもり?』

「あまり離れるのは心配でしょうから湯の国内で考えてます」

「ねぇ姉上ー良いでしょー?」

「御願い姉様ぁ」

『あーもー分かった分かった』

「「やったー!」」





※※※





いつの間に旅行などと言う計画を立ててたのか…否、それよりもこれは多分全員がグルだと言う事。中には分かってないのも居るみたいだが。



「よーし、それじゃあオイラの芸術でひとっ飛びと行くか!」

「えー!空飛ぶの?凄い」

「やめろデイダラ。目立つのは禁止だ」

「「えー…」」



トシとデイダラは本当に旅行だとしか思って無さそうだがマツと鬼鮫とサソリは…何か別の目的がある様に見える。



「イタチさん」

「何だ」

「お膳立てはしましたよ」

「…?」

「チヅがしっかり休む様に見張っとく事だな」

「………」



この二人は随分と遠回しな言い方をするものだ。



『皆に迷惑かけちゃ駄目よ』

「「分かってますって」」

『それからー…』

「修行は程々に、でしょ?」

「言われなくても分かってるから」



そんな双子の様子に肩を竦めると村を出て行く皆を小さく手を振りながら見送ると困った様に微笑む。
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