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氷華血鎖【鳴門】

第30章 一部・帰村


棘のある言葉で地味に攻撃をしてくるにあたって、なかなかの捻くれ者なのが容易に想像が付く。



「お前達はこれからどうする?」

「質問に答えるのは一つだけだと言ったはずだけど?」

「………」

「まぁ…質問には答えないけど俺からも一つだけ」



気を失ってるシズルを支え直すと此方に向けていた首を前に戻す。



「チヅル様の事…頼んだよ」

「!」





※※※





深くて暗い海底からゆっくりと浮き上がる感覚。やがて海面に近付くにつれて光が射し込む。その光に手を伸ばす様に意識が覚醒する。



-パチッ-



重たい瞼を開けると見慣れない天井。それよりも更に重たい…まるで布団に縫い付けられてる様な身体を起こすと目眩がする。毒も傷も再生術で問題無いけど血遁を使い過ぎたせいでまだ貧血が残ってる。



「無理はするな」

『此処は?』

「街外れの宿だ」

『そう…』



窓の外はまだ暗い。戦闘を離脱して数刻は経っていると見える。



「目覚めるのに暫く時間がかかると聞いていたが…」

『伊達に医者やってないからね』



印を結んで医療忍術を施した手を自分の胸に当てて身体の状況を確認する。27%か…ギリギリだな。後もう3%血液を失ってたら三途の川が見えていただろう。ここまでギリギリの戦闘をしたのは初めてだ。激しい戦闘をしても精々10%とかだったから、ここまで体がダルくなるのは…あの刀を使用したせいと秘術を使用したせいか。



-ポゥ…-



増血の術を使っても5%の回復がやっと。チャクラも回復しきってないし増血剤を調合して飲むしか無い…けどこれ以上チャクラを使って薬草を口寄せするのはまだ不安定過ぎるから村に帰った方が安心か。



「大事無いか?」

『取り敢えずはね』





※※※





まぁ血ぃ足りてないけど、とおちゃらけて肩を竦めるチヅルの顔色はまだ青白い。生憎俺は医学に精通してないから何も出来ないのが歯痒い。チヅルはリスクを侵してでも助けてくれたと言うのに。



『もう少し休めば動ける様になるから』

「チヅル…」

『イタチさん』

「!」



少し強い口調で名を呼ばれ言葉を飲み込むと真っ直ぐで綺麗な藤色の瞳が俺を映す。



『アタシが動ける様になったらすぐ村に戻る』
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