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氷華血鎖【鳴門】

第25章 一部・遊郭


既に兄弟と接触していると聞いてるから、もし下手な芝居なら既にバレているだろうしバレていないなら下手ではない。どうやって始末するつもりかは知らないが、いつになく慎重になってるのも分かるから気は常に張り続けているんだろう。



『村に戻ったらちゃんと診るから少しの間この薬で回復して』

「分かった」

『あ、ちょっと待って。それ白湯で流し込まないと…』

「っ!?!?!?」



この世の物とは思えない程とてつもなく苦くて辛かった。



『もー…人の話は最後まで聞いてよ。ほら白湯飲んで』



即効性を重視してるから味は最悪だ、と肩を竦める。普段は美味たる食事を作るのに、こんな酷い味の薬を作るとは。だが言うだけあって効力は絶大。直ぐに身体が楽になった。



「凄い効力だな」

『………まぁね。でもまぁもう少し休んだ方がいい』



そう言うと立ち上がって襖の方に歩いて行く。何処かに行くのだろうか。



『そんな心配しなくても湯浴みだよ』

「!」





※※※





村に帰ったらイタチさんを逆口寄せさせたマツを真っ先に叱ってやろうと思ってた。だけどマツが何故そうしたか理解したから寧ろ褒めてやらなきゃならない。



『………病、か』



イタチさんが此処に来た時、酷使した目の治療は仕事前に完了させた。それでもイタチさんの体調が優れないのは何かあると思った。だからあの薬を調合した。否、正確には薬ではない。本当に健康な人が飲めば命が危なくなる毒薬。だけど何らかの異状がある人には薬。飲ませるのは一か八かだったけど危険になったらなったで解毒薬は用意してるし医療忍術で何とかなる。
でもそれを飲んで身体が楽になったと言う事は…何らかの病を抱えてると言う事。



『早く…片付けなきゃ』



こんな場所ではマトモな診察が出来ない。村に戻ってちゃんと診なきゃ何の病なのか、どんな治療が最適なのかが分からない。今のところ、そんな大病って訳では無さそうだけど芽が小さいうちに摘み取っとかなきゃ取り返しのつかない事になりうる。



『日付はもう変わってるから…今日中』



いや、明日中にはケリを付ける。




















→to be continued.
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