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氷華血鎖【鳴門】

第22章 一部・進展


結界をすり抜けたのを感じたのかチヅルは先程と同じ様に顔を上げる。時間が経つのは早いと感じながら立とうとすると掴んでいたチヅルの手が逆に俺の手を握る。



「…?」

『あ…えと…』



俯いて頬に少しだけ色を付けながら視線を泳がせるチヅルがこの上なく………愛おしい。



『気を…付けて…特に………身体には』

「………」

『無理、しないで』



俺の手を握る小さな手が僅かに震えていた。気付いてしまったら自制を効かせるのが難しくなる事に気付いた。だがしかし下手な事は出来ぬと言う自制は効いてる。だからせめてその華奢な肩口に頭を預ける。



『!?』

「次…会ったら…話がある」

『………アタシも』





※※※





「ぐ…くそ………っ」



酷い夢を見た。目が覚めると、あれから既に三日は経っているとユキト兄者が言っていた。兄者は右肩に包帯を巻いていた。



「あの野郎…絶対ぇ許さねぇ!!!」

「落ち着けシズル」

「落ち着いてられっかよ!」



確かに湯の国には情報収集で行ったから戦闘は本意では無かった。だが決して手を抜いてた訳でも無い。あの二人だってそうだ。舐める様に観察し嘲笑う様に躱して戯れる様に仕掛ける。俺達だって弱くない…否、寧ろ強いって自負はあったけど正直手も足も出なかった。



「次こそは…必ず…」



と写輪眼の男を思い浮かべると、ふと思い出す。確か…あの色男…あの日の昼間に繁華街の茶屋でイチャついてたカップルの…つまりあの白銀の女は………と思考を巡らせたところで兄者から声がかかる。



「駄目だよシズル」

「何で…」

「恐らく他の暁のメンバーやチヅル様も知っていると見ていい。警戒してるだろうし、もう湯の国へ行くのは命取りだ」



そもそもあの般若の面はチヅル様だったから、と続けられた言葉に白湯の入った湯呑みを布団の上に落としてしまう。



「マジかよ…」

「顔を見た訳でも無いが…俺の血晶を破壊する際に俺の血を利用された。その時多少ダメージを受けた際のあの回復術はあの人を師事してたチヅル様にしか出来ない芸当だ」

「………じゃあどうすんだよ」

「策はこれから考える」




















→to be continued.
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