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氷華血鎖【鳴門】

第21章 一部・休息


「ゔ…ぐっ…」



肩に刺さった折れた刀を力任せに引き抜けば多少の血飛沫があがる。そしてドクドクと止めど無く溢れる血液。致命傷では無いし折れた刀が刺さっただけだから傷も深く無いハズなのに血が止まらない。



「おやまぁ…随分とやられたものね。私はちゃんと忠告はしたと思うけど」

「大蛇、丸…」

「カブト、ユキトの傷を診てあげて」

「はい」



ヴゥン…と肩の傷口に医療忍術が施される。気を失ってるシズルに大蛇丸が幻術返しを試みるが解除はされない。



「イタチ君の瞳術を喰らったのね。これじゃあ私にはどうにも出来ないからこの子の精神力にかかってるわ」

「こっちは毒ですね」

「解毒出来そう?」

「特殊なので成分分析をしなくては解毒薬は作れませんね。荒療治になりますが抽出なら問題有りません」

「あら…貴方でも時間がかかるって事は…その毒はチヅルちゃんね」

「!」



やはり、か。あの回復術は大蛇丸と同じ伝説の三忍である医療スペシャリストにしか出来ない。チヅル様は幼い頃に綱手を師事してた事があるから、あの般若の面の忍はチヅル様だったのか。だとするとあの剣術はどうやって身に付けたんだ。それに血遁どころか氷遁すらも使わなかった。



「甘く見られていた…」



いや、実際手も足も出なかったのは間違いが無いが。こんなにも力の差があるなんて思って無かった。





※※※





「姉様!イタチ兄様!お帰りなさい!」

「患者さん見付かった?」

『うん、ちゃんと治療して来たよ』



居間に入るとまだ食卓を囲む双子と鬼鮫。村を出て戦闘して戻って来て半刻。鍋の中は雑炊になっていて二杯分程残っていた。



「…殆ど情報が無かったと思うのですが、どうやって見付けになったのですか?」

『結界をすり抜けた人のチャクラを辿っただけよ。まぁ感知タイプじゃないから時間はかかったけど』



ご最もそうな理由をつらつらと並べる。だがそれはチヅルの本意を知らない人間からすれば簡単に信じてしまう様な説得力がある。嘘も方便。偽りも真になる。



「あ、そうだ!雑炊はマツが作ったんだよ!」

「姉様達の分、残してるから食べて食べて!」

『ん、美味しい。よく出来たねマツ』

「姉様のお手伝いしてるからね!とーぜんっ!」
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