第2章 松ノワール長男との話
「あの子は、なまえは実はあなたと同じ、誘拐された所を助けられた子、つまり私達と血が繋がってないの。
最初はあの子、誰にも心を開かなくて、ようやく私たちに話すようになって…私たち以外であの子が親しげに話していたのは紅松くん、あなたしかいなかった。
あの子、あなたがいない時ずっとあなたの話を楽しそうにしていた。
短い人生だったとはいえ、あの子のことを幸せにしてくれてありがとう」
始めて知った。なまえが俺と同じだったなんて。
彼女の笑顔を思い出す。
これ以上いたら泣きそうになったから俺はこの家を後にした。