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キミのとなりで【気象系BL】

第3章 手紙


ーNsideー


裏庭に向かう足がガクガクする。
心臓はバクバク言ってるし、嫌な汗が止まらない。

思い出したくもない記憶が脳裏を過る。

自分で行くって決めたのに情けない。

逃げないんだろ?
負けないんだろ?

今日はあんなこと起こらないから大丈夫。

必死に自分に言い聞かせながら、止まりそうになる足を何とか動かす。

そうしていたら、黙って寄り添っていてくれた翔ちゃんがふいに手に触れてきて。
自分が固く拳を握り締めていたことに気付いた。

翔ちゃんの手のあったかさを感じたら少し肩の力が抜けた。

拳を開いて翔ちゃんの手に重ねてみたら、すぐに優しく包み込んでくれる。

すごく安心してホッと息を吐いたら、息苦しさが消えた。
知らず知らず息を止めていたらしい。

本当に1人で来るつもりだったけど、全然ダメじゃん。

翔ちゃんがいなかったら、まともに呼吸も出来なかった。

裏庭にもたどり着けなかったかもしれない。



裏庭で待ってたのはやっぱり見たこともない先輩だった。

びっくりした顔してるのは翔ちゃんが一緒だからかな。

やっぱり、わざわざ書かなくてもこういう呼び出しは1人で来るって思うよね。

俺もそう思ってたけど···
1人で来ようと思ってたけど···

ごめんなさい、1人じゃ来れなかったです。

心の中でこっそり謝る。


俺からは何て言っていいか分からなくて、先輩が切り出してくれるのを待つ。

でも先輩は全く口を開いてくれなくて。

変な顔して固まったみたいに動かないし。

なに?
俺から話し掛けないとダメなの?

「あの···話ってなんですか?」

口を開くだけでも、すごい勇気が必要だった。

無意識に翔ちゃんの手を強く握ってしまったらしい。
すぐに優しく握り返されて、また安心する。

翔ちゃんがいるから大丈夫だ。
どんな話でもちゃんと聞こうと覚悟を決めた。

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