第3章 手紙
「告白なんてそんなのもうないと思うけど」
ニノは真顔で、本当にそう思ってるみたいだ。
これだけファンレターもらってるのに···
まぁ、本人は好意からのものって思ってないんだから仕方ないのか。
「もしそうだとしてもさ、怯えてるだけの今の状態がイヤなんだよ。今回頑張ったら、ちょっと前に進めるかなって」
「ニノ···」
震えながらも頑張ろうとしているニノ。
そんなの聞いちゃったら、もう行くなって言えないよ。
「それにずっと翔ちゃんに甘えっぱなし頼りっぱなしでさ。迷惑掛けてばっかだから、もっとしっかりしたいんだ······このままじゃ面倒なやつだって嫌われちゃうかもだから」
いやいやいや!
ニノは真剣に心配してるみたいだけど。
翔くんが嫌うわけないじゃん!
絶対面倒だなんて思ってないよ。
むしろニノに甘えられて嬉しそうなんだから。
「なのにね、今日の呼び出しに翔ちゃんが付いてくるって言うんだ。俺、断りきれなくて···甘えちゃっていいんだと思う?」
ああ、相談したかったのはこれか。
そんなのいいに決まってるのに。
ニノの瞳が不安そうに揺れる。
「1人で行かなきゃ意味なくない?」
「そんなことない!1人でなんて絶対ダメ!翔くんが嫌なら俺が付いてく!」
思わず力いっぱい否定してしまった。
「智が?!」
「ニノを1人で行かせるなんて心配で無理!」
ニノは驚いて目をパチパチしてるけど、これは譲れない。
ニノだって絶対1人で行くの怖くて不安に思ってるじゃん。
「翔くんだって俺と同じでニノのことすごく心配してるんだと思うよ?」
「うん···それは分かってる···」
「本当は翔くんに付いてきてほしいでしょ?」
ニノは恥ずかしそうに小さく頷いた。
素直で可愛い。
「甘えたっていいじゃん、翔くんは絶対迷惑だなんて思わないから」
「うん···」
「それに、本当は怖いのに頑張って呼び出しに応えようとしてるだけでもすごいよ」
「うん、ありがと」
ニノは少しはにかむと
「翔ちゃんと一緒に行くね」
少しすっきりした顔になった。