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キミのとなりで【気象系BL】

第3章 手紙


ーSsideー


来るだろうとは思っていたけど、やっぱり来てしまったカズへの呼び出しの手紙。

手紙を読んだだけで震え出したカズをすぐに抱き締めた。

腕の中で震えるカズはあの日と何も変わらないように見えて···
まだ忘れられていないって分かる。

そんなに日も経ってないし当たり前だ。

手紙だけでこれだけ怯えるカズを、告白されるって分かりきってる裏庭に行かせるなんて出来ない。

もちろん告白するやつみんながみんな襲ってくるわけじゃない。
むしろそんなやつほとんどいないだろう。

それでも裏庭と告白っていうダブルパンチは今のカズにはかなりの負担だと思うから。

他の男に告白なんかさせたくないっていう、俺の醜い独占欲や嫉妬心も少しはあるんだけど。

それだけじゃない。
カズにもうこれ以上辛い思いをさせたくないんだ。


こんなの無視すればいいと思ったし、当然カズだって行かないだろうと思ったのに。

しばらく腕の中で震えていたカズは、何故か急に行くと言い出した。

涙目のまま体の震えだって止まってないのに。

一体どうして?
そこまでして行く必要なんてないでしょ?

驚いて止めようとしたけど、カズは聞かない。

意外と頑固なところがあるんだな、なんて新たな発見をして一瞬胸が踊ったけれど今はそんな場合じゃない。

なんとかやめさせようと言葉を重ねるけどカズは頑なで。

せめて理由が知りたいと思ったら、カズの口から出たのは“逃げたくない”という言葉。

揺れる瞳の奥には闘志のようなものが見えて。

カズは乗り越えようとしているんだ。
恐怖心に立ち向かおうと。

本当はカズを傷付ける全てのものをカズから遠ざけておきたい。

カズが傷付かないように悲しまないように、真綿にくるむようにして守ってやりたい。

でもきっとそれは本当の意味ではカズのためではないんだろう。
ただの俺の自己満足だ。

カズが立ち向かおうとするなら、俺は応援して支えよう。


ただ、そうは言っても。

1人で行かせるなんて、絶対出来るわけない。

もしカズがどうしても嫌がるならこっそり陰から見守るつもりだが、出来るならば隣に付いていたい。

例え少しの距離でも離れているのは不安なんだ。

どうしても譲れなくて、半ば強引に付いていくことを了承させてしまった。

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