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キミのとなりで【気象系BL】

第3章 手紙


ーNsideー


今朝もワケわからない手紙が何通か届いてて。

諦めのため息を吐いて眺めてたら、1通だけちゃんと差出人の名前があった。

2年の先輩。
当然顔も知らない人。

差出人がない手紙ばかりだったから、名前が書いてあることに少しドキッとする。

何となくざわざわする胸を押さえてその手紙を開いてみると


『放課後に裏庭に来てほしい』


丸山くんのときと同じ内容で。

手紙を読んだだけなのに勝手に体が震え出す。

「カズっ」

翔ちゃんが慌てて抱き寄せてくれて。

「行かなくていいよ」

翔ちゃんのあったかい腕と優しい声に胸のざわつきが少しずつ落ち着いていく。

もう何回目だろう、翔ちゃんに抱き締めてもらうの。

何回経験したって毎回ドキドキしちゃうんだけど、同じくらい安心する。

俺に絶対的な安心感をくれる場所。

「こんなの無視して大丈夫。行く必要なんてないんだよ」
「うん···」

きっと翔ちゃんの言う通りだろう。

無理して行く必要なんかない。

もしかしたらまた告白されるかもしれない。
そう思うと怖い。

あんなこともうないとは思うけど、襲われかけた記憶はまだ鮮明に残っていて···

考えるだけで怖くてたまらない。


でも、もしかしたら翔ちゃんのファンの人からかもしれないとも思う。

手紙での嫌がらせとかまどろっこしいことはやめて、直接何か言われるのかも。

それもちょっと怖いけど。

こんな気持ち悪い手紙よりずっとマシな気がする。

嫌がらせなのか何なのかハッキリさせる良い機会なのかも。

それにさ。
もし本当に翔ちゃんファンからだとしたらさ。

なんか逃げたら負けるような気がするもん!
俺だって翔ちゃん好きだもん!

なんだか闘争心がムクムク沸いてきて、恐怖心がちょっと薄れた気がした。

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