第2章 友だち

「助けられたけど···カズすごい怯えてて。心配だったから一緒に帰ったんだ」

それは当然の行動だろう。

好きな人がそんな状態でいたら···

俺が翔の立場でも同じことをしたと思う。

「初めてちゃんと話したらさ、ますます好きになっちゃって」

赤い顔をしてたのに、急に自嘲気味になる。

「もっと一緒にいたくて···カズの弱味につけこむみたいで卑怯だって思ったけど、しばらく側にいてって言ったんだ。守ってあげたいって」

それは···ほとんど告白なのでは？

あんなにヘタレだったのに、すげぇ頑張ったな。

「ニノはなんて？」
「心強いって。隣にいさせてって言ってくれた」

それは···オッケーてことなんじゃないの？

「卑怯だなんて思わないけどね。それとも守りたいって口先だけなの？ただの口実？」
「違う！本当に守りたいって思ったんだ···でも、下心があったのも否定できないから···」
「もし下心だけならニノだって断るだろ。そんな目に遭った後なら尚更さ。翔の気持ちちゃんと伝わってると思うよ」
「ならいいんだけど」

翔の表情が少し和らいだ。

「それで付き合うことになったの？」
「だから付き合ってないって」

今度は絶望的な顔になる。

まるで百面相だ。

見てて飽きない。

「今朝の聞いてただろ。カズ即否定してたじゃん。そういうのじゃないんだよ。カズにとって俺は用心棒みたいなもんだろ」

いやいやいや、否定してる時のニノの顔、真っ赤だったよ？見てなかったのか？

「俺の片想いだから。男に好かれたって困るだけだって、潤だって分かってるだろ」

翔はその経験があるから、そう思ってしまうのは分かる。

分かるけど···

自分が好きでもない男に好かれたら、それはやっぱり困るけど···

でも、２人は両想いじゃん。

ニノはどう見ても翔が好きだろ。

なんで翔は気付かないんだろ。

自分の気持ちでいっぱいいっぱいで余裕がないのかな。

「内緒な」
「誰にも言わないけどさぁ」

もうみんな知ってると思うよ。

なんなら学校中。

ニノも···

いや、ニノはどうなんだろ？

気付いてないのかもしれないな。