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ハニー・アンダーカバー

第2章 ハニー・ナースコール①


朝9時。

七七七は、ため息をつきながら自分のデスクに座る。事務所の長である夢野の席は空っぽだ。その席を睨みつけながら、昨日の自分に起こった悲劇を思い出す。

あんなことがあった次の日にも仕事があるという異常な生活に憂いを感じていた。

しかし、その憂いは長くは続かず、けたたましく開かれた扉とともに吹っ飛んでしまった。

「どうも~。報太郎で~す。」

勢いよく事務所に入ってきたのは顔馴染みの男だった。

「……………………はぁ~」
「え?なになに?それオレのせい?」

馴れ馴れしくデスクに近寄ってきたこの男の名は報太郎。情報屋だ。この街では夢野の正体を知る数少ない人間の1人でもある。

彼が来たということは怪しい事件が発生したということで、つまりまた…。

「そうですよ。だってまた事件なんでしょう?」

七七七は、自分のデスクから席を外し、お茶を入れ始める。

「まぁそう言わずにさぁ~、街の平和のためなんだから~。」

報太郎は、そんな彼女の肩に手を置き、甘えた様な声を出す。

「分かってます。もう少ししたら夢野さんも帰ってくると思うんでその時に…って…」

彼女は自分の尻に違和感を感じた。ぞわぞわとした感覚が背筋に伸びてくる…。

「…触らないでくださいっ!」
「いてっ!」

スケベな手をバチンと叩き落とし、七七七は振り返った。

「毎度毎度貴方って人は!」
「え~いーだろ~。ミカゲばっかりずるいって~。」

怒っているのは自分なのに、自分よりがたいのいい男にずいっと身体を寄せられ、七七七の体勢は腰が引けた状態になってしまう。
報太郎は、その腰を引き寄せるように腕を回してくる。

「オレにもちょっとくらいさぁ……いいでしょ?」
「やめてくださいっ。」

胸を押し返すも、強引に耳元で甘い声を囁かれる。
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