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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第118章 番外2※




「・・・ひなた・・・っ」
「ッ・・・」

酷く艶かしい声で、ふと名前を呼ばれた。
というよりは、ただ口にしただけのようだけど。

その声に全身が疼くような感覚に襲われながら、彼を抱き締める手をピクリと反応させた。

「ひなた・・・ッ」

もう一度彼は私を呼びながら、力任せのように抱き締めて。

締め付けられる苦しさに顔を歪めたが、それ以上に精神的な苦しさの方が圧倒的に勝った。

「・・・っ、く・・・」

呻くような彼の声が、これでもかと耳を刺す。

何もできない。
その現実が、何よりも苦し過ぎた。

「・・・・・・」

やっぱり、何もしないのは無理だ。
きっと、彼だって何もしないよりはマシなのではないだろうか。

そう考え出すと、答えは一方通行になるばかりで。

「・・・零」

色んな苦しさの中、微かな声で彼を呼んだ。

・・・これから私は酷いことをする。
その自覚はあった。

でも今の私には、これ以上できることが・・・なかったから。

「本当に・・・我慢しなきゃダメなの?」

頑張りを踏みにじったり、優しさに漬け込んでいるようにも感じたけれど。

いつまで続くか分からない彼のこの状況に、私が早く安心したい。

そんな身勝手な考えで。

「そうなら、私はこのまま大人しくしてる」

彼を・・・煽った。

「でもそうじゃないなら・・・」

そして。

「・・・私を巻き込んでよ」

狡く、縋った。

「・・・っ」

脳裏の考えを口にすれば怒るだろう。
普段の彼であれば、言わなくても察するだろうけど。

今は、平常ではないから。
きっと悟られないはず。

・・・なんて。

「私を使ってよ」

見くびりすぎだろうか。

「・・・・・・」

数十秒、何も変わらない時間は過ぎた。

彼の荒い呼吸が続く中、彼の熱く火照った熱に当てられ、私も汗を滲ませ始めた頃。

「・・・その言い方は、少々癪に障るな・・・っ」

彼は僅かに体を起こし、絞るように言葉を吐き出すと、私の顎を指で持ち上げるように掴んで視線を合わせた。




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