第118章 番外２※

「･･････」

まだ、彼の落ち着きは取り戻されていない。
さっきの私の行為が中途半端だった事もあり、寧ろ加速しているようにも見えた。

でも止められてしまったからには･･･どうすることもできなくて。

「･･･嫌だった？」

僅かに緩んだ彼の手をゆっくり僅かに離すと、小声で彼に尋ねた。

けれど返事はなく、彼からは荒い吐息だけが漏れ出ていて。

「やっぱり、別の部屋にいようか？」

体が疼くのか、もがく彼の体は私に縋り付いてきて。
まるで藁にでもなったような気分だった。

頼りなさで言えば、この上なく今の私に当てはまる物だ。

身勝手な言い方だとは気付いていた。

零を1人にすることもあまりしたくないが、さっきのように我慢させて荒ぶらせては意味が無い。

彼が求めなければ、意味が。

自分の無力さを痛感しつつ、彼に離れる提案もしてはみたが。

「･･･これは、警戒を怠った僕への罰だ」

彼は苦しそうに言葉を紡いで。

「ここにいてくれ･･･」

離さないように、私を強く抱き締めた。

「･･･うん」

私が苦しむことが、彼への罰なのだろう。
零は、そういう人だ。

自分の痛みより、他人の痛みを強く感じる。

他人を巻き添えにして助かるくらいなら、自らを切り捨てる。

･･･零は、優し過ぎる。

たまには･･･私くらいは。

巻き添えにしてくれたっていいのに。

「･･･ッ･･･」

それから数分は経っただろうか。
彼からは変わらず、荒ぶった呼吸と喉に詰まるような声しか聞こえて来なくて。

腕の噛み痕も手当できていない為、時折都の匂いが鼻に届いて。

･･･その中。

「･･････っ」

彼の、モノ･･･が。
固く主張するそれが、服越しでも分かる程に私へと当て続けられている。

それがどうにも私を不謹慎な気持ちにさせる。

「･･････」

･･･落ち着こう。
彼から求められない以上、今は私が落ち着いて対処しなければならない。

あの時の彼だって、恐ろしい程に冷静だったのだから。