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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第116章 安室2※




「透さん・・・?」

彼女の目の前で立ち止まり、その怯えの正体を確かめるかの様に数秒間無言で見つめ合った。

「そのご友人に、僕も挨拶させて頂けませんか」

そして・・・確信を得るように、そう尋ねた。

「そ、それは・・・」

やはり、ここをつけば彼女の動揺が大きくなる。
沖矢昴と来たことは、何が何でも隠し通したいようだ。

でなければ、メールで嘘をつく必要も最初からない。

「恥ずかしがり屋な人なので・・・本人に聞いてみます」

そう言って彼女は僕の傍を抜け、向こう側にあるトイレへ駆け込もうとしたけれど。

すかさず行く手を阻むように、壁へ勢いよく手をついた。

「ここですれば良いじゃないですか」

あくまでも、笑顔で。

けれど彼女の顔の強ばりは取れないまま、進めなくなった前ではなく後ろを振り返ろうとしたから。

反対の腕で再びそれを阻み、壁際へと彼女を追いやった。

「どうして逃げるんですか?」

沖矢昴と彼女がここに乗車していることにも引っ掛かりはあるが。

そもそもの問題がある。
何故、沖矢昴がここに乗っているか・・・だ。

ただ普通に遊びに来た・・・という訳ではないだろう。
もしそうなら、それはそれで問題だが。

「に、逃げてません・・・」

・・・本当に嘘が下手な人だ。
目を見ていない時点で、自白したも同然なのに。

「では、ここでご連絡をどうぞ」

彼女の耳元で囁くように言えば、彼女の体が小さく震わされて。

「と、透さん・・・っ」

僕と距離を取る為に、彼女は僕を押し退けようとしたけれど。

そうは思えないような微弱な力に妙な違和感を感じた瞬間。

「・・・おや、貴方は」

望んではいたけれど、聞きたくはなかった声が耳に届いて。

彼女とほぼ同時にその方向へ視線を向ければ、そこには沖矢昴が立っていた。

「やはり、この間の方々ですよね?」

沖矢昴は、白々しい様子とセリフを吐きながらこちらに近づいてきて。

彼女との距離を少しでも確保する為か、無意識に僕の体は沖矢昴と向き合うように立った。





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