第115章 番外１※

「･･････」

彼もまた私が達してしまったのが予想外だったのか、僅かに目を見開くと、暫く荒い呼吸を繰り返す私を見つめた。

「や、だ･･･っ、見ないで･･･ッ」

･･･恥ずかしい。
この上なく、恥ずかしい。

顔を隠してしまいたいのに、背けることも隠すことも、彼に手を掴まれているせいで何も出来ない。

ジタバタともがいてみるものの、彼の手は鉄のように固くビクともしなくて。

ただ暴れては、首を大きく振ることしかできなかった。

「･･･ひなたは、僕の恥ずかしい姿を見たのにか？」

口調だけは優しいが、言っていることはそうでもなくて。

それに、私は彼の顔をまじまじとは見ていない、と上目で彼を見上げれば、何故か彼は笑みを浮かべた。

「それは、威嚇にもならないな」
「っ、や･･･！」

･･･それはそうだろうな。
今、状況的に不利なのは圧倒的に私なのだから。

そんな不利な私を更に追い込むように、彼は耳元にわざとリップ音を立ててキスをした。

「やられっぱなしというのは、僕らしくないからな」

もう十分に仕返しはされたと思うが、彼は私の太ももへと手を伸ばすと、焦らすように何度も往復して指を滑らせた。

その間、額や頬、耳や首筋、鎖骨･･･そして胸元へ、いくつも唇を落として。

それが酷くもどかしい。
唇が触れる度、体は反応するのに。

明確な快楽が訪れないせいで、腰がもじもじと揺れてしまう。

「･･･今、どんな顔をしているか分かっているのか？」

彼に、ふいにされた質問にも、頭が回らない状態で。

ただただ快楽を欲しがる感情に、全てが飲み込まれていた。

「れい･･･っ」

欲しい。
もう、もどかしいものはいらない。

一度達してはいるが、どこか不完全なそれに体は飢えに飢えていて。

彼の名前を呼んでは、それを必死に訴えた。