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【BANANAFISH】Lullaby【アッシュ】

第7章 山猫の住処







「起きた・・・アッシュ、リサが起きたよ!」

スキップの明るい声がする。

「メレディスを呼んでくる」

この声は、アッシュ・・・?

「目が覚めたか。ちょっと脈を見せてもらうよ」

低い声が聞こえて、誰かが毛布の中の私の腕を掴んで外に引っ張り出す。
ぼんやりしていた視界がだんだんはっきりしてくる。

男の人だ。
髭の生えた、大人の男の人。
私の首を何度も締めながら笑っていた、あの・・・

「いっ・・・・・・・・・いや・・・!!!」

掴まれた腕を思いきり振りほどいた。
急に上体を起こしたせいで頭がクラクラしてもう一度ベッドに突っ伏しそうになったところを、誰かの腕が支えてくれた。

「大丈夫だ。コイツは医者だ」

金色の糸のような前髪が視界に入る。
その前髪の奥の、意志の強そうなグリーンの瞳。
それは紛れもなくアッシュだった。

「アッシュ・・・あ・・・・・・わたし・・・・・・」

一気に記憶がフラッシュバックした。

私はあの火曜日の夜にマンションに連れて行かれて、それで・・・
よく分からない薬を何度も打たれて、気持ち悪くなった後、痛いとか苦しいとかも分からなくなって、でもまた火曜日が来たことだけはちゃんと分かってた。
だけど逃げられなくて、そしたらアッシュが来てくれて・・・

「コイツはあんたに危害を加えたりしない」

アッシュがそう言って、私は腕を掴んだ男の人をもう一度見る。
よく見ると首を締めた人と共通しているのは髭だけで、全然違う顔立ちだった。

「あ・・・ごめんなさい・・・」

振り払ってしまった相手に謝ると、その向こうのスキップの心配そうな顔が目に入った。


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