第5章 酔い痺れる恋心
「ロー、お風呂、終わったけど、入る?」
風呂を出たばかりのルルアがローに声をかける。
その声にローはルルアの方を見る。
思わずドキッとする。
お風呂を出たばかりのルルアの頬は赤くなっており、少し濡れていて髪からは自分と同じシャンプーの匂いがしたからだ。
いつもは化粧をして、ルルアのすっぴんを見るのは初めてだった。
白い肌に長い睫毛が影を帯びる。
整った唇がローを呼ぶ。
ルルアが島から帰ってきた時と同じ感情がローを襲う。
「んー…」
(…は?)
突然ぽすんとローが座っているソファにルルアが座る。
距離がとても近い…。
いっそうルルアの甘い匂いが強くなり、ローを誘う。
(こいつ、まじかよ)
人の気もしらねぇで。
「ローぉ、ねむ、ぃ…」
少しのぼせたのだろうか。
いつもより呂律が回っていないように聞こえる。
「あァ、自分の部屋で寝てくれ。」
「…うゆ」
(あ、やばい。ちょっと、まじで本当に、眠い…)
起きなきゃ。とおもうものの、体が動いてくれない。
(わたし、何言ってるんだろう…)
温かな温もりを求めて、ルルアはローに抱きつく。
当のルルアは寝ぼけていて、あったかい温もりを感じているだけなのだが。
「…いや、」
(まじかよ。こいつ、誘ってんのか?)
いきなりルルアに抱きつかれ、ローは焦った。
なにしろ、手を出すのを我慢していると彼女から抱きつかれたのだから。
微笑む彼女の柔らかそうな唇を見る。
これに触れられたらどれだけ嬉しいだろうか。
ルルアが寝ぼけてやっていることだとはわかってる。
だが…
ローはルルアの顔へと顔を近づける。
そして、柔らかそうな唇へと顔を持っていく。
自分からキスしたいと思ったのは初めてだった。
俺はどうしてこんなにルルアが恋しいのだろう。
ちゅ
温かく、柔らかい。
そしてとても甘かった。
「ロー…?えっ?」
さっきまで虚ろな目をしていたというのに、急に驚いた瞳でルルアが声をあげる。
眠気が覚めたのだろう。
「誘ってきたのはお前だろ」
(えっ?)
そう返すと、ルルアは自分が抱きついていることに気づき驚いて姿勢を治した。
(うそ、わたし…っ)
無意識で求めるなんてこんなにも恥ずかしいことはないだろう。
(好きなのバレちゃった…?)