第4章 近づく距離
(まずい…)
ローに味見をしろ。と言われ、味見をするととてもじゃないけどもうひとくちなんて食べれないレベルにまずかった。
(こんなものをみんなに食べさせていたなんて…)
申し訳ない気持ちになるし、何よりベポと頑張って釣ったのにな。と悲しくなる。
(せっかく、いいところ見せたかったのに…)
役に立ちたかった。
「はぁ…、お前はもう料理しなくていいから食器でも洗ってくれ」
ズキンッ…
胸がストンと落ちたような感覚になった。
ローにそう言われると、なんだろう。
とても悲しくなる。
やはり自分はダメだな。何もできない人間だな。とメガティブに考えてしまう。
「…うん。ごめんねなんか」
そういうだけで精一杯。
思わず下を向いてしまう。
「はぁ…」
(!!)
聞こえてきたため息に大げさに反応してしまう。
顔を上げると、ローがため息をついていた。
呆れられただろうか。
(………)
どうしようもなく悲しい気持ちになり、涙が出そうになる。
(泣いたりしたら、めんどくさい女だと思われちゃう)
ルルアは我慢をし、席を立った。
「わたし、部屋掃除してくるね!」
(笑え)
大丈夫。
作り笑顔はもう慣れているから。
ルルアはそういい、食堂を飛び出した。
朝から頑張って作ったご飯も。
ローのために、ローのためにローの好きなものを作ったはずなのに。
全部、ぜんぶ失敗に終わった。
ため息をつかれた。
(呆れられた…)
おいしい?だなんてきいた自分を馬鹿馬鹿しく恥ずかしく思う。
バタンッ
勢いよくドアをあけ、ベッドに身を乗せる。
布団にうずくまり、ため息をつく。
(嫌われたくないな…)
役に立ちたかったのに。
真逆のことをしてしまった。
そんな自分が大嫌いだ。