幸運と悪魔を宿すグリモワールを持つ少年たちの妹ちゃん
第4章 魔法騎士団の試験
細い見た目では想像出来ないほどしっかりした体に抱きつき、私は久しぶりの兄にほっとする。そして、私達は会場の中へと足を踏み入れ、この半年間のことを報告し合った。
「………そうか。お前が楽しかったならよかった。何もされてないか?」
「うん!あの家の人達は、当主様以外の人はは近寄ってすら来なかったし!」
「…そうか」
とまぁ、こんな話をしていると、やけに鳥が多いということに気づいた。
「ユノ兄、なんでこんなに鳥が多いの?」
しかも、人馴れしているように見えて、何故かこっちには寄ってこないし。
「…あれはアンチドリ。魔力の低い者に寄ってくる…らしい」
「ふーん。じゃあ、ユノ兄がいるからこっち来ないのか」
見た目がちょっと可愛い分、残念だと思っていると、大きな声が会場をこだました。
「ユノ!俺の修行の半年間、見せてやるからな…いだだだだだ!?!?」
そこには、たくさんのアンチドリにつつかれているアスタの姿があった。
「あ!! クレア!!お前、早く帰って来いって言ったろ!何だこの鳥!?」
アスタがこちらへ来て、私の頭を軽く小突いた。間近で見たアンチドリは少し可愛く、そっと触れようとすると、バサバサと逃げてしまった。少ししょんぼり。
「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?なんだこの鳥共!!!!」
アスタは鳥を追い出そうと、前も見ずに走り回る。
「私もすぐ帰れると思ってたんだけど……あっ!? アスタ前!!」
「うおっ!?」