幸運と悪魔を宿すグリモワールを持つ少年たちの妹ちゃん
第4章 魔法騎士団の試験
半年後──魔法騎士団試験会場。私はそこで人を待っていた。
「んー…まだ来ないなぁ」
半年間、私は美味しいものを食べ、かわいい服を着て、下民が…という視線は向けられることはあっても、まあまあ充実した生活を送っていた。だが、外出は必ず人が付き添い、教会に帰る…みたいなことは出来なかったのだ。
「二人とも元気にしてるかな」
と思いながら、しばらくぼんやりと待っていると、肩を叩かれた。
「アスタ!? ユノ兄!?」
笑顔で振り返ったが、私の笑顔は消えた。そこには、見知らぬ人がいたからだ。
「よっ。俺はセッケ。君可愛いね。名前は?」
馴れ馴れしい態度の人は、私にズイっと顔を近づける。私は少しずつ後ろへ下がるが、逃げ場がなくなっていく。
「えっと……あ!」
「エットアちゃんっていうんだ。可愛い名前……うおっ!?!?」
突風で転んだ男を避け、私は思いっきり彼の胸に飛び込んだ。
「ユノ兄!! 久しぶりぃぃ!!」
「クレア」