【BLEACH】Breath In Me【原作沿い女主】
第2章 A girl
うざったいほど明るいヤツだが、まあ啓吾に比べりゃマシな方だし、空気が読めないわけでもない。うちに来るのも日常茶飯事で、家族が喜ぶのは本当だし、鬱陶しくも何ともなかったんだが……最近は少々事情が変わった。
それと言うのも――……。
「あ、朽木さん! おっはよ!」
井上が何かに気づいたように俺の背後に目をやり、にこりと笑って手を振った。
「あら皆さん。ご機嫌麗しゅう」
……こいつが俺の押し入れに住み着いているのだと言うことを、知られたらエラいことになるからだ。
ひきつりそうになる表情を無理矢理引き締めて振り返ると、案の定、ピンと特徴的に外側に跳ねた黒い髪の女が、輝かしいばかりの笑顔と寒気がするような猫なで声で井上に挨拶を返してきた。いつの時代の真似事か、両手で恭しくスカートの裾なんぞつまみ上げて。
奴の名は朽木ルキア。
現在、力のほとんどを失ってその役目を果たせずにいる――死神だ。