【BLEACH】Breath In Me【原作沿い女主】
第4章 Reunion
ドガァン!!
「一護!!」
身体が家屋の塀にぶち当たる強烈な衝撃と共に、ルキアの悲鳴にも似た声が耳に届いた。その声に遠のきかけた意識を無理矢理引き戻し、ヒビが入るほど深くめり込んだ身体を塀から引き剥がす。
「く……っそ」
全身を襲う、頭のくらくらするような激しい鈍痛に思わず悪態をつくと、咥内にうっすら血の味が滲んだ。
ほんと、憎まれ口の一つでも叩かなきゃやってらんねえ。
こちとら最近、虚の出現頻度が減ったもんで、地味に身体が鈍ってるっつうのに。
「何なんだよ、こいつは……!」
今、住宅街を走る一般道路で俺が相対しているのは、まさしく化け物と呼ぶにふさわしい出で立ちをした虚だった。
今まで倒してきた虚は何というか、魚やらトカゲやらの動物の骨格だけを抜き、それを大きくしてちょっとばかし凶暴な感じに仕立て上げた、というような容姿をしていた。けど今回遭遇したこいつは、何と言ってもでかさが半端ない。胴体は何かの塔のように太く、その両脇についている腕もバカみたいに筋骨隆々としていて、思い切り斬りつけても傷をつけることすらままならない。二十分くらい前から戦っているが、形勢は相子どころか徐々に追いつめられつつあるという散々な有様だった。
(突然こんなのが現れるなんて、反則だろ!)
『キヒ……キヒヒ……どうした死神、もう降参か?』
「ヘッ……誰が……」
心の声とは裏腹に強がってはみたが、正直なところ立っているのがやっとだ。さっき吹っ飛ばされたせいで額を切ったらしく、視界の半分が赤く濁っている。いや、それだけじゃない。既に全身の至る所に切り傷や打撲を負っており、その状態で身体を酷使したせいで、手足がぎしぎしと軋んで動くこともままならなくなっていた。
痛い。全身の傷という傷が夏の熱気に晒され、腐り落ちていくような感覚がする。
『ヒヒ、全くもって浅知恵だな死神。お前ごときの力量では私に勝つことなどできないと、少し考えれば分かることだろうに……』
ばかでかい口が糸を引いて開き、おぞましいほどの低い声が流れ出てくる。と不意に、仮面の穴の奥で光りながら虚の目が、ぎょろりと別の方向を向いた。
その視線の先には、険しい表情で左手の中指と人差し指を虚に差し向けたルキア。