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ドリルの元鞘(R18)

第8章 就・寝


 痙攣。
 靄がかった意識が晴れてくる。
 痙攣。少しずつ弱くなる。

 脈動。
 ボラーは目をぎゅっと瞑り、呼吸を荒げている。
 脈動。少しずつ弱くなる。

 ふたりのリズムは違うけれど。
 一度だけ同じになり。
 そして、またズレていく。

「つらくないか? 体」
「うん。ありがとう」

 呼吸が整うと、キス。
 何度でもキスをする。
 心地よい疲労感。
 不意にボラーが[元カノの名前]の首筋を舐める。「ん!」と声が出てしまう。仕返しに、勝ちほこった彼の顔を両手で包み、揉みつくす。
 「ほんりゃんほ、ひゃめお~」
 情けない彼の声。
 ふたりはくすくすと笑った。

 ――。

 丸めたティッシュを袋に捨て、固く縛るボラー。
 その後ろ姿。
 いつまでも変わらない彼。
 一方で……。

「よし、じゃ、寝ますか!」
 能天気な声色。
 考えても仕方ないことは、考えても仕方ない。
 そんなトートロジーで、鬱屈した気持ちに風穴を開けてしまえる彼。

 ボラーは貫いてしまう。
 きっと、これからも。
 そんな彼が折れそうになるときも、いずれは、あるかもしれない。そんなときは……。

「ほらもう寝るぞ! うっわさむ! ちょっと暖取らせて~[元カノの名前]~。よしオッケー離れんなよ! おやすみ!」
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