第7章 挿・入
ひとしきり、舌を深く絡ませた。
お互いの体は熱く濡れている。
ふたりは、目くばせをする。
――。
ボラーが座っていて。
[元カノの名前]は膝立ちから、ゆっくりと体を預けていった。
ひとつに繋がってゆく。
止まる呼吸。
感情の昂りによって、体としての気持ちよさは数倍にも数十倍にも膨れあがっていった。
根元まで沈む。ふたりの顔が近くなる。
いつまで見つめあっていても飽き足らないけれど、体は動いてしまおうとする。もう少しこのままで、と深く長いキスをした。ボラーの肩へ置いた指に力が入りそう。
唇が離れると、甘い吐息が洩れた。
[元カノの名前]の腰へ腕を回し、ボラーの首へ腕を回す。
そして、優しく動きだす。
じわりとした快さがお腹と頭に広がり、もっともっと欲しくなる。
「……重くない? 大丈夫?」
彼の返事は軽いキスと笑顔。
見つめあっていると、愛しさが溢れそうになり、ふたりの欲求は止まらなくなる。
いい。良い。好い。
頬が緩んでいるのを見ると、きっと自分も、そうなのだと。
呼吸のリズムが崩れる。
ボラーが眉間に皺を寄せたので、[元カノの名前]は微笑みが隠せず、動くのを止め、
「やばい?」と訊いてみる。
「うん……やばいわ」と照れる顔。
虐めてみたい気持ちから、敢えて動こうとする。けれど彼は制止する。小柄でも、男の膂力。
そのままハグ。
落ちつく。
ボラーの香り。
つい、嗅いでしまう。
こっそりとさりげなく肺を満たす。
脳が溶けそうになる。
彼の腕に力が込められる。
徐々に[元カノの名前]は寝かせられ、ボラーが覆いかぶさる体勢へ。
顔にかかる髪を、丁寧に除けてくれる指。
なんとなくボラーの頬に手を添えると、顔と顔とが近づいて唇が触れあった。
そして離れない。
そのまま彼が突きはじめる。
貪る。
貪るように熱く強く。
それは押しよせる波、感覚。
体中に巡る快感を持てあまし、腰はよじり、顔はそむけ、手はシーツをつかむ。
一瞬、気が遠くなりそうで怖くなり、彼の腕へ手を伸ばす。けれど。
両腕をベッドに押さえつけられる。
悪戯っぽく微笑むボラー。獣。
体の芯がびりびりと痺れて、なにも考えられない。
反復する衝撃。
「[元カノの綽名]」
ぎゅ、と狭くなる。
「[元カノの綽名]」
意識が――。