第7章 始まる物語
「あっ、あっあ♡」
賑やかな街にネオンの光が差す頃、女の喘ぎ声が大きく個室に響く。
乱暴に指を入れられてかき回されただけの雑すぎる前戯なのにも関わらず、濡れているのはやはり彼を愛しているからだろう。
彼が上手いのもあるかもしれないが、この扱いが正常じゃないことくらい私もわかっている。
「んっあっ…」
ズブリと彼のモノがぬかれる。
この感覚をいつも残念に思う。
名残惜しそうに彼の瞳を見つめると、彼は私を見ないで離れる。
わかっていても、この扱いはぐさっとくる。
適当に相手にされているのが心の芯から伝わる。
(でも…)
「ロー、また私と会ってくれる?」
(私はそれでもあなたが好きだから…)
抱いてもらえるだけで幸せなの。
「あァ」
振り返りもせずに私に背を向け、シャワーを浴びに行くローの後ろ姿に涙が出そうだった。
(泣いてはだめ)
めんどくさい女って思われたくないもの。
「あぁ、幸せだな…」
シャワーの音にかき消され、その声は響くことなく消えた。