第5章 10億円強盗殺人事件
ポアロの仕事も終わり帰る支度をしていると、店のドアの開く音が聞こえる。
もう昼のピークも過ぎ去り、今日はもう帰るところだったが、コナンの気を感じて開けようとしたドアノブから手を離した。
「はあ……」
原作でも頻繁に来ていただろうか。
例え怪しまれているにしろ、彼は頻繁に来すぎである。
一つ溜息を吐いて少し開けたドアの隙間からコナンを覗くことにした。
「コナン君、いつも来てくれてありがとう。もしかして天月ちゃんをお待ちかな?」
「うん。そうなんだ」
「天月ちゃんならもう少ししたら来るから、もう少し待ってて」
(おいいい!マスター、何言っちゃってんの!?だめでしょ?そんなこと言っちゃっ。これじゃあ絶対に確実に出て来ないと怪しまれるじゃん。完全にマークされて盗聴されるじゃん。くそっもしかしてお前らグルなのか、お前ら同盟結んでるだろ。何故だ何故なんだマスター、ウチはこの世界にきて一番信じてたのに!金か?金なのか?ありえる!あの死に神ならありえるぞ)
店内を睨むように見ていると、ふとコナンと目が合ってしまった。
恵理香はゆっくりドアを開けてコナンの元へ向かう。
「こんにちは、コナン君」
「こんにちは、天月ねーちゃん」
すぐ元気よく返事を返して立ち上がった。
「こ、こここコナン君?どうしたのかな?」
「えへへへ。今日は天月ねーちゃんのお家に行きたいなーって。もうお仕事終わりなんでしょ?」
「うん。でもほらウチ………私の家にきてもなんにも楽しいものないよ」
「そんなことないよ。ボク天月ねーちゃんともっと話したいから。だめ?」
「…………ごめんねコナン君、今日はやりたいことがあるんだ。だから私のお家にくるのは、また今度でもいいかな?」
「………うん」
しょんぼりと落ち込むコナンの頭を撫でた。