第3章 小さくなった名探偵
路地裏で小さくなる気の気配を感じ立ち止まって、その気の持ち主の様子を伺う事にした。
息は荒く腹部からは銃弾で打たれたのか血が服を汚す。
暴力団の線も考えてみたが、気からはジャークさが感じられない。
「あの、大丈夫ですか」
駆け寄り見ると腹部を抑える手が真っ赤に染まっていて息を飲む。救急車を呼ぼうとバックに手をかけた時、ガシッと手首を掴まれ掠れた声で懇願される。
「頼む、救急車は呼ばないでくれ」
力なく開いた青い瞳が揺れていて苦しそうだ。
「はあ? そんな事言ってる場合じゃないだろ、このままだと死ぬぞお前」
「いっ行けっないんだ」
「行けない?」
傷口をまじまじと見て納得する。
「ああ、なるほどね、お前も荒事に巻き込まれたって事か。わかった。仲間は」
「は、はあ?」
「だから仲間だよ仲間、お前の仲間はどこにいるんだって聞いてんの。裏切られたわけでもあるまいし、近くにいるんだろう?」
「……」
「おい、おい。、聞いてんの? ……って、気絶してるし」
どうしようかと困っていると誰かが近づいてくる気を感じて誰かのくる方向に顔を向ける。仲間が来たのかと安心するが、気が良い者ではない事に片眉を上げる。
「ん? 敵か、それとも……」
急いで名探偵コナンの知識をかき集める。
「悪い。もしもの事があれば助けるから、今は勘弁してくれよ」
即座に視線を彷徨わせて壁の裏に隠れ様子を伺う。
壁に背をつけて耳をそばだてていると2人分の足音が近づく。
「おい、おい、、バーボン」
「兄貴、もう死んでるんじゃないんですかい?
「ふっそうだったら面白いがな。よく見てみろまだ息がある。さっさと連れて行くぞ」
「へい」
急な登場人物に目を見開く。
ここで見つかれば一般人であろうと殺し待ったなしだろう。
射殺か絞殺か、毒薬を飲まされる可能性も。
もしも、幼児化する毒薬を飲まされたらしゃれにもならない。それに逃げても顔を覚えられては厄介だ。なので必死に気配を消す事に徹する。
しかし驚いた。どこかで見覚えがあると思えば安室だったとは、運がいいのか悪いのか。2人の足音が遠ざかるのを聴いてから壁から背を話す。そして不安そうに息を吐いた。