第7章 セスー囁けば二重人格ー
「っ、…っ、」
セスの唇がアリスの耳の淵に触れる。そっと、触れるだけ。吐息がアリスの左耳へと届く。
「…かわいい、」
囁かれ、啄まれ、息が耳の中を抜けていく。アリスはそれを耐えていた。キスを続けられるより耳で囁かれている方がまだ耐えられることに気付いてキュッと身体に力をいれる。
今日はー今回は大丈夫ーー
気付いたら15分経っていた。
「…おわった…」
アリスはホッと息をついて身体のチカラを抜く。昨日は本当にどうにかなってしまうと思った。今日は、大丈夫。安堵から頬が緩む。
「…安心しちゃってるけど、まだ早いんじゃない?アリスちゃん。」
セスが微笑みながら指をさす。
ルールの紙が光る。
"絶頂するまで耳を犯す"
「…?」
信じられない文字が飛び込んできてアリスはヒュッと息をする飲んだ。ーー絶頂って…イクまでって、こと?身震いするのがわかる。
「…それって、どういう…?」
意味ですか。まで続かない。セスが言葉を拾ってくれる。
「んー?…そうね、アリスちゃんが耳でイクまでずーっとずーっと耳を責めなさいっていう命令。かな?」
セスがニヤリっと笑う。先ほどまでとは目の色が違う。
「…え?」
「だぁから、昨日は時間で決まってたでしょ?でも今日は違う。アリスちゃんが耳だけで絶頂しないと終われないのよ。わかる?」
耳だけで…
「っ、そんなの、むりっです、!」
「そうねー。キスよりうーんと難しいかもね。感度は悪くないけど昨日より平常心でいたみたいだし。逆に辛いかもね」
セスが淡々と告げる。
「でもね、逃げられないのよ。」
ーーわかるでしょ?
セスに耳元で囁かれ、アリスはまた無意識に身体に力をいれた。
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