第1章 お伽噺のように結ばれたい
「我々調査兵団に入団し、人類の為に……」
新兵の前に立ち、堂々と演説するのは調査兵団の団長、エルヴィン・スミス。
850年から団長で、かなり優秀だと噂では聞いていたが……金髪、長身、筋肉質、かっこいい、俺についてこいタイプのイケメン……。いた……本当にいた……私の王子様……!!
ユリアはエルヴィンに見とれていると、団長を筆頭に、調査兵団の幹部の面々がこちらを見てきた。そして周りがなんだか寂しい雰囲気になった気がする。
壇上にいる調査兵団の幹部や先輩方が一斉にこっちを見ている理由。
ユリアは周りを見渡して気が付いた。
「……あれ?みんな?」
自分以外誰もいない。
頭に「?」を浮かべて固まっていると、団長のエルヴィンがユリアに話し掛けた。
「そこの君」
「……は、はい!」
「出身と名前は?」
「は!ストへス区出身、ユリア・アナスタシアです」
「ユリア、君は勇敢な兵士だ。心より歓迎する」
「……は」
ーーーー……。