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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


「赤司って」

「うん。赤司君の奥さんだよ」

「そうなんだ。赤司家の奥様って、てっきり専業主婦っていうかお家の事をメインにしてるのかと思ってた」

「赤司君はそういう人よりも自立してて尚且つ品のある女性がいいって言って亜理紗さんと結婚したんだよ」

赤司さんはあたしの事なんてよく知らないのにここまでしてもらっていいのだろうかと思ってしまう。
それに今回の契約に金銭が発生しないことも契約書に書かれていて、あたしはどれだけ周りに助けられているのだろうか…

「必ず何かの形でみんなにお返しします。助けてもらってばっかりでごめんね」

「ごめんねじゃないの」

美緒に言われてハッとした。
真太郎にもずっと言われてた“ごめんよりありがとうの方が嬉しいのだよ”って言葉を思い出す。

「ありがとう」

「あともう一つね。これは絶対持ってて。特に佐伯さんと二人になるときはこれを必ず持っててほしいの。バックに入れてもいいしみさきの服の中でもいいから」

「なにこれ?」

「赤司君のところのGPS。スマホは電源が切られたら機能しないし地下だと電波が安定しないみたいなんだけど、そのGPSは本来警護対象に持たせるもので高性能だから地下2階くらいまではきちんと電波が拾えるの。これは赤司君の提案なの」

「そうなんだ。本当にありがとう。どんな形でも必ずお礼させてくださいって赤司さんに伝えてほしい」

「うん。伝えとく」

佐伯さんとはプロジェクトの中でも距離が保てるようにチーフにもお願いしてくれたってことも教えてくれた。

「あ、それからさ、みさきの案が採用されるからプレゼン内容を一緒に考えてほしいんだけど、みさきの特殊な仕事柄時間の確保が難しければ会議室じゃなくても機密保持ができる場所ならどこでも打ち合わせしていいってことになったから。ちょくちょくここ来て打ち合わせになりそうだけど大丈夫?」

「え、そうなの⁉あたしの案ってなんだっけ?」

「ほら、黄色、赤、青を恋愛のストーリーにするって案だよ」

「あ、それね。了解です」

佐伯さんの事に支配されていてすっかり仕事のことが抜けてしまっていた。

恋愛なんて超初心者で彼氏なんていたことないけど今の自分の考えが形になるかもしれないと思うだけで楽しめそうな予感がした
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