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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


ゆっくり紅茶を飲んでフォンダンショコラを食べてからレジに向かうと紫原さんが出てきてくれた。

「ん、さっきより顔色よくなったねー」

「温まりました。ありがとうございます」

「余計なことかもしんないけどさぁ、怖いことがあった時は周りに頼んなよ」

「え?」
なんで突然そんなこと言うんだろ…

「時間ある?」

「少しなら」

カフェスペースの奥の目立たない席に座らせて紅茶を淹れてくれた。

「どうして怖いことがあったと思うんですか?」

「あんな真っ青な顔で震えてたら誰だって分かるよ。バイトの子だって“すっごいおびえてる人がガトーショコラあるか聞いてる”って言うくらいだよー?」

「すみません…」

「別に謝んなくていいけど、友達の彼女がそんなんだとやっぱほっとけないよね~」

「あの、ですから青峰君とは付き合ってないです」

「あ、そなの~?」
いや、この間もそれ言いましたけどね…
この人ホント緩いし不思議な人だな。
あたしを全く異性として見てないことと独特のペースで緊張がほぐれていく。

「あの、そろそろフライトなんで行かないと…」

「あ、ごめーん。じゃあ今日はお金要らないから~。気を付けてねー」

いや、お金要らないって…
バイトの子に払おうとしたけど「オーナーからいらないって言われたのにあたしは受け取れません」って断られた。


「次こそちゃんと買います!ご馳走様でした」



車に乗り込んで見慣れた番号をタップした

大我出てくれるかな…



「どうした?」

「特にどうしたってこともないけど…」

「んな訳ねーだろ。そんな声して」

あたしの嘘は大我に即バレる。

「ちょっと怖いって思うことがあって…その……」

何も言わずに聞いてくれる大我にさっきの出来事を話した。

「桃井と進藤に話せ。あの事話したんだろ?」

「でも話して勘違いだったら?」

「それならそれでいいだろ。それにお前が言わねーなら俺が桃井に話す。何かあってからじゃ遅せぇんだぞ」

「うん…」

「あいつらならお前が怖いって思う気持ちだって分かってくれるんじゃねーの?」

「分かった。今日から北海道だから戻ったら話す」

「絶対話しとけよ。それから、誕生日おめでとう」

「あ、ありがと」

「おう。仕事頑張れよ」

「寒さと戦ってきます」

大我に話すと少しだけ心にゆとりができた
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