• テキストサイズ

最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


急に何だったの⁉

あの手の質問をされるのがものすごく苦手なあたしにとって他の人がいない空間であれを聞かれるのは恐怖でしかなかった。

俳優さんとかは人がいてもお構いなしに冗談めかして聞いてくることはあるけどそれでも答えるつもりなんてないのに2回会っただけの人にあんなこと聞かれるなんて怖すぎる。

とにかく夕方のフライトまでに何とか気分を落ちつけたくて紫原さんのカフェに行くことにした。

「いらっしゃいませ」

ケーキの並ぶショーケースを見るとガトーショコラがない…

「今日ってガトーショコラもうないですか?」

「確認してきますね」

……




「今日はガトーショコラ品切れなんですけど後10分くらいでフォンダンショコラが焼きあがるみたいなんですけど…」

「待たせてもらっていいですか?食べていきたいんですが」

「ではお持ちしますのでカフェスペースでお待ちください」

暖かい紅茶をオーダーして気分を落ち着けるためにバッグからペンを取り出そうとしたのにない。
最悪…さっき慌ててたせいで会社に置いてきちゃったんだ。

恐怖を感じたときの対処療法としてペンで紙に丸を書いてそれを塗りつぶすっていうのをずっとやっていたからペンと紙はいつも持ってたのに…

代わりの方法がなくて無意識に腕をつねっていたら紅茶が運ばれてきて少しだけ気分が落ち着いた。
震えは止まらなかったけどゆっくり紅茶を飲んで息を吐いた。

恐怖のせいで冷たくなった手を紅茶で温めていたら奥からフォンダンショコラを持った紫原さんが出てきた。

「どーぞー。やけどしないでね」

「あ、ありがとうございます」

「どーしたの?顔真っ青だよ?」

「え?寒いから…ですかね?」

「暖房ちょっとつよくすんね~」

そう言って奥に戻っていった。


あたしは辰也と違ってすぐに顔に出ちゃってポーカーフェイスができない。
仕事ではそれなりにやってるつもりだけど恐怖を感じるとすぐに顔に出てしまう。

さつきたちに連絡入れなきゃ

(ごめんそっちにボールペン忘れちゃったと思うから今度会うとき渡してほしい)
/ 1719ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp