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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


フレグランスの件で打ち合わせをするためにさつきと美緒の会社に行くとすでに受付に二人がいて待っててくれた。

「おはよ」

「「おはよ。誕生日おめでと!」」

朝からニコニコの笑顔で小さな紙袋を渡してくれた。

「わー!ありがとう。開けていい?」

「もちろん!」

ちょっと中を覗いてから開けると白いカシミヤのマフラーが出てきた。

「ちょー嬉しい♡今日から使う!」

「北海道でしょ?寒くて死なないようにね」

笑ってくれてるけど本当は美緒だって黄瀬君と会いたいよね…
でもなんか、美緒と黄瀬君の信頼関係みたいなものが結構羨ましい。


3人で会議室に入って資料を読んでいるうちに全員がそろってミーティングが始まった。

3種類のカラーについていくつか案が上げられて、いいと思うカラーで多数決が取られた。

最終に2パターンが残ってあたしは黄色、赤、青がいいと思った。

「黒須さんにお聞きしますが、このカラーがいい理由は何ですか?」

「色にはそれぞれ意味があって人間の五感に働きかけます。
黄色は興奮色とも言われていて人を活性化させます。
赤も興奮色ですが黄色とは違いアドレナリンに働きかけてより高い興奮を促します。青は沈静色で、水を連想させる色でもあります。落ち着いているけど、その人にとって水同様に不可欠な愛情を表現できると感じています。価格帯と総合的に見ても、若年層だけに向けた製品ではないので、全世代に当てはまる恋愛のストーリーを考え、この3色を推します」



あたしの後も何人か意見が聞かれて、打ち合わせが終わって内容を整理していたらさつきと美緒が呼ばれたから、一人で帰りの支度をしていると声をかけられた。

「黒須さん」

「はい」

佐伯さんだっけ?

「さっきのプレゼンすごいよかったです。知識が豊富なんですね」

「いえ…メイクが仕事ですのでカラーについて学ぶ機会があったので」

「もしよかったら今度教えてもらえませんか?」

「そういうことでしたら先生を紹介しますよ」

はぁ…

え……ため息??

「お付き合いされてる方とかいらっしゃるんですか?」

は⁉何で急にそんな事…

「プライベートなことにはお答えしてないのですみませんが失礼します」


突然のことに驚いて逃げるように会議室を出た。




心拍数が異常に上がっているのが自分でも分かる
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