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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


(起きてるか?)

もちろん起きてます。興奮しすぎてまだ寝れそうにない。

(うん。試合すごかった)

(後で電話する。眠かったら寝ろ)

(起きてる)

「ダーリン?」って美緒のニヤニヤ顔がのぞき込んでくるから慌ててスマホを隠した。

「もう!次ダーリンって言ったら黄瀬君にここに着替えある事バラすから!」

「分かった分かった。もう言わないからそれはヤメテ。あたし死ぬ」

美緒は黄瀬君に愛されすぎてる。さつきも美緒も好きな人に愛されてていいなって正直羨ましい。

「大ちゃんなんだって?」
だから!あたし青峰君だって一言も言ってない!!!!

「んとね、あとで電話くれるって」
そして正直に答えちゃうこのおしゃべりな口。

「「そっか。ゆっくり話してていいから」」って声を合わせられた。


もう、ちょっと落ち着きたい。
キッチンに逃げて紅茶を3人分入れてソファに戻る。


「そういえば、みさきが紅茶の列に並ばなかったら大ちゃんとみさきは話すことなかったかもね」

…何を言い出すの!?
落ち着こうと思って入れた紅茶が逆効果になるなんて。

あの時のことは今もはっきり覚えてる。腰を支えてくれた大きな手と倒れ込んだ胸板。初めて目が合った時の時間が止まったような不思議な感覚。
全て色褪せることなくあたしの中に残ってる

「あたしも知り合ったきっかけ聞いて驚いた。よく青峰さんがみさきを助けたよね。なんかあんまり人に興味持たなそうなのに」

「多分反射神経がすっごいいいから咄嗟に引っ張ってくれたんだと思う。ホントに助かった。あのドレス気に入ってるのにまだ1回しか着てないからコーヒーまみれは免れてほんとによかった」

「美緒って鋭いよね。大ちゃんなんてほんと人に興味ないよ。バスケが絡まなかったらほとんど話さないし」

「やっぱりね。なんかそんな感じ」

「え?そうなの?確かにペラペラ話すタイプじゃないけどNYにいたときは結構いろいろ話してくれたよ。まぁ気使ってくれたんだろうけど」


NYでは二人でいるときは大体何か話しててすごく楽しかった。沈黙の時間もあったかもしれないけどそれすらも心地よくて本当にあっという間に時間が過ぎて行った

「NYで初デートなんて最高じゃん」

「デートじゃない!タキシードを届けたの!」

「でもその後一緒にいたならデートじゃん?」

ちがーう‼
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