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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


「もちろんあります」

「みんな辛いことくらいあるのよね」

「あたし、つらい時期に言ってもらった言葉ですごく助けられた言葉があったんですけど、聞いていただけますか?」

「うん」

「あなたは沢山のものを奪われたかもしれないけど、あなたが与えてきたことや経験は誰にも奪えない。悲しみや苦しみを知っている人間はその分優しくなれる。あなたが元気になったら辛い人に優しさを与えられるの。だから早く元気になりなさい。でも焦らないで。傷ついた自分を否定しなくていいの」

これはあたしがどん底にいたときにBOSSが言ってくれた言葉だった。
これがあったからあたしはまた頑張れた。


大粒の涙を流しながら頷いてくれた。

「泣き止まなきゃ……」

「大丈夫ですか?」

目が赤くなってしまったけど懸命に涙を止めて、にっこり笑ってくれた彼女はとてもきれいだった。

目を冷やして少し赤みが治まってきたから撮影用にメイクを直した。
泣いてしまったけど、涙で潤んだ瞳をあえて強調させることでウルウルした瞳と笑顔で幸せそうに見えるんじゃないかと思った。
笑顔はモデルさんの頑張り次第になっちゃうけど…
白目の赤みはフォトショで直してもらえばOK


吹っ切れたように笑顔で撮影に臨むモデルさんを見て本当にすごいと思った。

絶対辛いはずなのにそれをしっかり隠して笑顔を浮かべる。
笑いたくないのに笑うのって誰にでもできることじゃない。

予定を1時間半過ぎて撮影は無事終了。

メイクを落として髪を解くと、来た時よりもずっとすっきりした顔で「ありがとう」と言ってくれた。

「笑いたくないときは無理しなくていいと思います。でも笑っているリサさんはとってもきれいだと思います。今日はありがとうございました。もし使っていただけるようであればご連絡ください」と言って名刺を渡す。


「うん。ありがと。すぐに元気になれないけど、仕事はちゃんとしなきゃね…せっかく仕事がもらえるんだもん。遅刻してごめんなさい」

「頑張りすぎないでくださいね」

モデルさんをマネージャーさんに引き渡して帰りの準備をした。



車に乗り込んでさつきと美緒に連絡を入れた。

(今終わったから戻るね。マンション着いたら開けてもらって)

(涼太のとこにいるからゆっくりでいいよ)


さて、帰ろ。早く二人に会いたい!

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