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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


予定よりも早く横浜について撮影の準備を整えておいたのにまさかのアクターの遅刻。


取り合えず美緒とさつきに連絡を入れた。

(現場でトラブル。今日遅くなるかも。コンシェルジュに鍵開けてもらうように言っておくから着く時間に連絡して)



現場スタッフとマネージャーとでは連絡が着いていたらしく、モデル到着まで待機になったけど、予定から2時間遅れで撮影が始まった。

撮影自体は順調に進んでいるけど、モデルさんの機嫌がすっごい悪い。
……悪いって言うよりはどんよりしてる



「首が固まると表情筋も固めてしまうので、すみませんがマッサージさせてください」

「…」

何も答えてはくれないけど椅子に座ってくれたからOKと捉えて首をほぐす。

結構疲れてるな…

「何か飲みますか?お部屋の備え付けになっちゃいますけど」

「…ハーブティある?」

「カモミールなら」

「じゃそれ」

ケトルにお湯を沸かしてカモミールティーを淹れてテーブルに置くと一口飲んで泣き出した。


下を向いているから首の筋が伸びてしまっていてマッサージはできないから肩をさする。

「撮影、辛いですか?」

「…違う」

「お話いただけるようなら聞かせてください」

話してくれるかなんてわからないけど、親しくないからこそ話せることってあるんだと思って聞いた。

泣きながら、ゆっくりだけど話してくれた。

3年前から付き合ってた彼氏がいたけどずっと浮気されてて昨日別れたらしいんだけどその浮気相手は自分の妹だった。
笑って写真を撮ってるけど中身が全然伴ってなくて滑稽に思えて惨めで仕方ない

妹とは仲のいい姉妹だと思ってたからショックが大きくて今日の撮影を遅刻してしまったということだった。

「そうだったんですね…なんて言っていいのか分からないんですけど、あたしはどんなにつらいことも絶対に乗り越えられるって信じてます。今は周りの人に沢山迷惑を掛けちゃったとしても、何年もかかるかもしれないけど、恩返ししたいって思っていれば必ず元気になれます」

「簡単に言わないでよ……」

「どん底だって思ったら後は這い上がるだけです。落ちるとこまで落ちきったらもう下には行かれないから上がるしかないんです」

「……経験でもあるの?」




なんて言おう…誤魔化さない方がいいのかな…









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