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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


真太郎のお家に着いてチャイムを鳴らすと玲子先生が出迎えてくれた。

「結婚式以来だね。上がって」

「お久しぶりです。お邪魔します」

リビングに通してもらってケーキを渡してから一緒にお茶をしながら真太郎を待った。

いつ来ても綺麗に片付いてていい匂いがする緑間家。
キャビネットに今まではなかった結婚式の写真がいくつも飾られていて、ソファに座ったまま視線だけを向けた。

「結婚式ほんとに素敵でした」

「あら、ありがとう。私の友達と同じお席だったけど大丈夫だった?」

「お友達もみんなすごく優しくてたくさんお話できてほんと楽しかった」

同じテーブルだった玲子先生のお友達との会話を思い出して自然と笑顔になった。

「今お仕事忙しいの?」

「この間まで実家に帰ってたから今はまだ大丈夫。忙しくなるのはこれからで、クリスマスと年末関係が動き出すかな」

「もう年末になっちゃうんだね。なんか1年って早いね」

「あたしも今年はなんかあっという間だったな…」


話してると玄関の方から鍵を開ける音が聞こえて真太郎が帰ってきてリビングに顔を出した。

「ただいまなのだよ。みさき早かったな」

「「おかえりなさい」」

「今日は午前中の打ち合わせだけだったの」

前は制服の学ランだった真太郎がスーツを着てネクタイをしてるなんて変な感じ。


玲子先生がほぼ作っておいてくれたお食事を一緒に完成させてダイニングに並べて3人で食べ始めた。

「結婚式に来てくれてありがとうなのだよ。忙しかっただろう?」

「こちらこそ招待してくれてありがと。すっごく感動した。少し仕事が立て込んだけど予定通り帰国できてよかった」

「行ったり来たり本当にご苦労なことなのだよ」

この二人はいつもあたしが“話したいことがある”って言ってもあたしが話し出すまで待ってくれる。

美緒とさつきもそうだし大我もそうだけど、あたしが言葉に詰まっても先を無理矢理聞こうとせずに“今話せることを話せばいい”って言ってくれるから自分の気持ちを整理しながら伝えられる。


今日さつきと会った事を話したり、アメリカでのNYコレクションの話をしたりしてるうちに食事が終わってテーブルを3人で片付けた。

ケーキと紅茶を用意してもらって、デザートになったら話すと決めていたことを切り出した。

「…ちょっとね、二人に聞いてほしいの」
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