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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


side黄瀬

「あんたら、仕事する気ないなら帰れよ」

別に脅すつもりなんてなかったし本心を言っただけだけど、自然と怒りが声に出てしまった。

いつもは怒らない俺の声に空気が凍って動きを止める人と何事かとこっちに来る人が見えた。

俺のマネージャーでさえ俺が怒ったことにたじろいでいるのか何も言葉を発しない。


聞こえていると思ってなかったせいか二人は何も言わずに驚いて“マズった”というような表情をしているのが更に腹立たしかった。

組織に所属して、一人でやったことも、やれるだけの技術も度胸もない人間が束になって悪口を言って、これじゃいじめだろ

俺の言葉に、みさきっちが慌てて止めに入るけどもう止まらなかった。

みさきっちが仕事の場でプライベートを詮索されるのをものすごく嫌ってるのは知ってたけど俺とのことを勘違いされてバカにされて仕事に支障が出てるのが許せなかった。


だから嘘にならないように付き合ってるとは言わず“めちゃくちゃ大事にされてる”って言うと信じられないと言うような表情を浮かべる二人と…
驚きすぎて目をまんまるにしてるみさきっち。

話が突然恋愛に移行したせいか俺が何かとんでもないことを口走るんじゃないかと懸念したのか、マネージャーが撮影の再開を促して現場の空気が元に戻った。

せっかく直したメイクもまた直しになってみさきっちのところに行くと悪くもないのに謝ってる。

言い返そうとすればいくらでも反論できたのにそれをしなかったから理由を聞いてなんか分かった。

この子は本当にメイクが好きで誰よりも仕事に誇りと責任を感じてる。
黒子っちにちょっと似てる。
自分に与えられた仕事に徹する覚悟と責任の重さを誰よりも理解してる

そして、どんな時でも自分を客観視することを忘れないみさきっちを尊敬した。

それなのに…「なんであんな嘘ついたの?」だってさ

何のことを言ってるのかすぐに分かったけどすっとぼけてスタイリストのところに逃げた。


いや、仕事でこれだけ自分を客観的に見てんのに恋愛になると全然見えてない。主観的すぎるにも程がある。

“あたしの片思い” “青峰君は何とも思ってない”って言いまくるみさきっちを思い出してため息が出た。


尋常じゃない鈍さッスね…
青峰っち…頑張れ!



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