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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所



帰国したみさきっちをさっそくメイクに指名して撮影に呼んだ。

「これでやっと安心して撮影ができるッス」

「そう簡単でもないだろ。この間の写真の件がうやむやなまま彼女はアメリカに行ったんだぞ。あの件を蒸し返してくる奴がいないとも言い切れないだろ」

「うーん。でも俺とみさきッちってマジで友達なだけだからそんなこと言われたって困るんすよね」

「まぁ人の噂も75日って言うからな。少し経てば落ち着くだろ」


写真を持ち込んだ人物が特定されて話を聞いた時に、週刊誌に写真を持ち込んだのはあの日同じスタジオに入っていたメイクだったってことを教えてくれたけど名前は聞かなかった。
でも、そんなことをした理由は知りたくてうちのマネージャーに確認してもらった。

「きちんと事務所に所属せず黄瀬君に取り入って毎回メイクに入って、撮影中も親しそうに話して、メイク以外の時間でも楽屋に入り浸った挙句、一緒に帰って、メイクの立場を使って黄瀬君に近づいていたから、自分がどれほど身の程知らずで黄瀬君に迷惑をかけてるのか教えてあげただけ」

らしい...

もう呆れて言葉もない。
俺に取り入ったって…クライアントに対して取り入るも何もないし話してんのは大体俺。
あの日だって“送ってく”って言ったのは俺からだし迷惑なんて全然かけられてない。
それに身の程知らずとかいうけど、みさきっちは仕事では絶対プライベートの関係を持ち出してこないから身の程知らずとかでもない。
仕事とプライベートをちゃんと分けて、誰に対しても立場を弁えた上で接してる

前に俺の嫉妬で美緒とケンカして美緒がみさきっちの部屋に逃げた。
次の日絶対みさきっちに怒られるって思って現場に入ったけど、仕事場ではそのことに触れることも態度に出すこともなく本当にいつも通り仕事をしてくれた。

仕事後に話があるって言われた時はメデューサに睨まれたのかと思うくらい体が固まったけど……

それに最初は“黄瀬さん”だったのが“黄瀬君”になったのだって俺が頼んだことだった。

俺を“黄瀬さん”って呼ぶのは仕事関係者だけで、疲れてる時に黄瀬さんって呼ばれんのが本当にぐったりする。
だから前にみさきっちに仕事中でも“黄瀬君”にしてほしいと言ったら最初は困惑してたけど、クライアントの要望ならとOKしてくれた。

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