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小鹿の隠れ家

第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)


間違いなく、バロンを佳乃子に押し付けてくれたのはこの男性に違いないと理解できるのに、どうしても怖い……身長が、座ってても自分より高いせいか余計に怖い、と震えながらもこんのすけの言葉に必死に返事を返す。
人を見て卒倒するのは失礼なことだとさすがに母親にも教えられているのだ。それを、いくら初対面でバロンが居なかったとはいえ目の前でやってしまって怒鳴られてもおかしくない。
今とてこんのすけが居るから黙っているだけかもしれないと思うと、佳乃子は恐ろしくて仕方なくバロンにしっかりとしがみつきながら身を縮めて視線を床に向けている。

「そうなのですか! 私相手では押しが強うございましたから、快活な方かと思っておりましたが……」
「うっ……申し訳ありません。こんのすけ様の様にお話が出来る狐さんにはお逢いしたことがなかったのでつい……」
「いえいえ! 驚きましたが、理性さえ手放さないで頂けたら大丈夫でございますよ!」
「……気をつけます」

ピルピルと表現したくなるような震え方をしながらもこんのすけの言葉にはきちんと受け答えしている佳乃子は、ひしひしと感じる強い視線に更にバロンの影へと潜り込もうと身じろいでしまう。
そこで漸くはたと思い出した風のこんのすけが顔を上げると、先ほどまで話していた男性へと顔を向けると姿勢を正して改めて佳乃子を見た。
佳乃子の方もバロンに隠れながら姿勢を正してこんのすけへと意識を向けた。

「改めまして、佳乃子様。政府とお父様のご推挙により、この度この本丸の審神者として務めて頂きたくお迎えいたしました。こちらは先ほど倒れた佳乃子様を運んでくださった刀剣男子の方です」
「初めまして。僕は、燭台切光忠。伊達政宗公が使ってた刀なんだ」
「は、はじ、初め、ましてっ……み、宮島佳乃子と、申します。さ、先ほどはっ……た、大変失礼をっ!」
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