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モデルのボーダー隊員~番外編~

第4章 年中行事〜大晦日&正月〜


12月30日 木崎視点

今日は昨日の続き、お正月料理を作っている。
藤咲にお節に入れる料理の作り方や、縁起物の由来等を教えながら調理を進める。

「二段目に入れる鰤は、大きさによって呼び名が変わることから「出世魚」と呼ばれる。今回は新人が三人とお前が入ったから、どんどん強くなって目的が達成出来るよう願いを込めて入れる」
「なるほど」

真面目な藤咲はきっちりメモを取っている。こうも熱心だと教え甲斐がある。

「次は里芋だ。普通里芋は子孫繁栄の意味を持つが、俺達は、ボーダーが新しい代になっても、益々繁栄する事と捉えてここに入れている。数の子も同じだな」
「子孫繁栄も、次の代が栄えるようにって言うのは同じですもんね」
「あぁ」
「じゃあ、伊達巻の場合は「文化の発展」を「トリオン技術の発展」に変えたりするんですか?」

俺の捉え方と同じ様に、他の食材の意味を自分で考えて言えるのも良い。
知識は申し分無し、発想も良い、吸収力もある。料理の面での弟子が出来た気分になる。

「まぁ、そうだな。伊達巻には「学業成就」の意味もあるから、ボーダーの成績は勿論、学校の勉強も恙無く出来るようにと言う意味も込めて入れている」
「学校の事まで考えてくれてるんですね!学生の身としては嬉しい限りです!」
「俺も学生だからな。どっちが下がっても困るのはみんな同じだし、お前達の様に未来を支える人間の知識向上は大事だしな」

そう言ってポンと頭に手を乗せて撫でてやれば、目を細めて気持ち良さそうな顔をする。
いつも周りから頼られたり、持ち前の長女気質で人と接している藤咲は、人に甘えるのが苦手なようだ。偶にこうやって年下扱いすると、慣れてないせいで頬を染めたり嬉しそうな表情をしたりする。
この表情を見れるのは年長組と、上層部の三人くらいだ。

「レイジさんの手、暖かくて大きくて好きです♪」
「そうか。ありがとう」

偶にこう言う爆弾を落とすのが可愛いと言うのも理由の一つではある。リビングの方から刺さる藤咲ガチ勢(迅・小南・京介)の視線が痛いのは仕方ない。

「さて、残りも仕上げるぞ」
「はい!」

いい返事をした藤咲に、再び由来や調理法を教えながら進める。お重全ての段が出来上がったのは夕食前だった。


年が明けるまであと一日。明日は大晦日。
最後まで何事も無く幸せな一年であれますように。
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